■コラム:沖縄(3) 山羊汁



山羊汁とは

ぶつ切りにした皮付き肉、四肢、骨付き肉などを大なべに入れ、次いで小腸、大腸、胃などの内臓や血液を入れて3-4時間煮込んだ汁です。野菜などは入れないものが多いです。
宮古島や八重山では味噌味、沖縄諸島では塩味というように地方によって特色があります。薬味におろししょうがとよもぎの葉を入れます。香りや味に癖がありますが、慣れると癖になる美味しさです。

ヤギとヤギ食について

沖縄、特に中南部において、日本本土ではあまり見られない山羊がヤギ汁や刺身、チーイリチャー(*1)食べられている。山羊は沖縄本島中南部では「ヒージャー」、山原(やんばる)では「ピージャー、ピーザー」、八重山「ピピンジャー」、宮古島「ピンザ」などと呼ばれている。沖縄でヤギが飼われる理由は草が豊富で、婦女子や年配者など誰にでも飼養でき点が上げられる。ヤギはクムイスン(薬膳)としての需要も高く、滋養や精力剤として捉えられるとともに、新築祝い、合格祝い、出産祝いなどでも使われている。

沖縄県における飼養数は2007年度には全国の頭数の半分ほどをしめているが、1975年の42,300頭から2007年では7046頭となり6分の1ほどに急激に減っている。その背景には、都市化の進展でヤギを飼いにくくなったということと、消費地が中南部に集中しているにもかかわらず、屠畜解体する屠畜場が中南部にないこと、また、中高年や若者のヤギ料理離れなどが要因と考えられる。


(*1)ヤギ肉と野菜をヤギの血液で凝固させたものでもみ、炒めたもの。
【参考】
平川宗隆 2009. 『沖縄でなぜヤギが愛されるのか』 ボーダー新書
【写真】
掲載写真すべて筆者撮影(2010年4月24日訪問時)


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